リハビリ・関節可動域訓練(ROM訓練)について
関節の拘縮(こうしゅく)とは?
拘縮(こうしゅく)とは、手足の関節を動かさないことで靭帯(じんたい)などの弾力性が失われ、筋肉の筋膜や結合組織が収縮することによって関節の運動が制限される状態のことです。
つまり、拘縮(こうしゅく)とは、手や足の関節が固まってしまうことで曲がらなくなる、あるいは、伸びなくなる状態のことを言います。
拘縮の多くは、脳卒中(脳出血や脳梗塞)の後遺症である麻痺、
認知症、パーキンソン病などにより、手足を動かさなくなることが原因で発生します。
私たちの体は動かないでいるとすぐに関節や筋肉が硬くなります。
これは高齢になればなるほど顕著になります。
拘縮の問題点
・日常生活をスムーズに送ることが難しくなる
・今後のリハビリテーションの妨げになる
・介護を困難にする
例えば、足に拘縮が発生すると、自分で立てなくなったり、つまずいて歩けなくなります。
それと同時に、”日常生活の自立”や”介護”がより困難になってしまいます。
「短期間で軽度の拘縮」であれば、リハビリを行うことで元の状態に戻すことはできます。
しかし、「長期間放置された重度の拘縮」の場合、関節はしっかりと固定されてしまい、動かすと激しい痛みを伴うためリハビリや治療が困難となり元の状態に戻らなくなります。
また、重度の拘縮を治療するのにかかる期間は、拘縮が発生し放置された期間と比べて、その何倍もの時間が必要になります。
拘縮は治療よりも予防が大切
拘縮は一度起こると治療するのが大変です。
したがって、拘縮対策としては「治療」よりも「予防」が大切です。
拘縮を予防する為には、拘縮が起こる前段階から、肩、肘、手首、手の指、膝、足首などの関節の曲げ伸ばしを日常的に行い、関節の結合組織の弾力性を保つことが大切です。
そこで、拘縮予防のリハビリとして行われるのが、関節可動域訓練(ROM訓練)です。
関節可動域訓練(ROM訓練)とは?
関節には動かせる範囲があり、これを”関節可動域”と言います。
この関節可動域を保ちながら、拘縮を予防及び改善する目的で行われるのが”関節可動域訓練です。
脳から筋肉への刺激を促進することによる運動感覚、位置感覚の再学習にもなり、関節を動かすことによる関節機能の正常化、血流の改善、筋肉の短縮の防止、および改善が見込めます。
関節可動域訓練を行うことで日常生活動作能力の改善につながります。
拘縮のみられる患者様には、関節モビライゼーションを併用して行うことで可動域の改善を目指していきます。
関節モビライゼーションとは
関節に細やかな運動を繰り返し与え、硬直した関節部分を動くように回復させたり痛みを軽減させる手法です。
瞬間的な関節操作ではなく”ゆっくりと大きく”関節を動かすのが特徴です。
関節モビライゼーションは、緩やかで優しい矯正法なので、お年寄りやお子様にも安全なテクニックです。
また、この手法はスポーツ選手などにも大変有効で、関節の柔軟性向上や障害予防、疲労回復などの効果があります。